Quantcast
Channel: 読書日記PNU屋
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2027

平山夢明「大江戸怪談 どたんばたん(土壇場譚)」

$
0
0

 

大江戸怪談 どたんばたん(土壇場譚) (講談社文庫)大江戸怪談 どたんばたん(土壇場譚) (講談社文庫)
平山 夢明

講談社  2016-11-15


Amazonで詳しく見る

  江戸の闇に蠢く妖魔や、今も昔も変わらぬ人情、非業の死を遂げた者の呪詛を次々と映し出す江戸怪談集。

 書き下ろしに加え、本書には「大江戸怪談草紙 井戸端婢子」からの再録がある。かつて「井戸端婢子」はたいへん面白く読んだのだが一冊きりでシリーズとはならず寂しかったので、こうして新たな作品を読めるのは本当に嬉しい。

  「耳閻魔」のような妖怪譚もあれば、「饅頭女」の如き人か妖か判然とせぬ話もあって楽しいが、やはり「魂呼びの井戸」や「肉豆腐」、「木の顔」や「人独楽」のような残酷譚が印象深い。しかも、これらの物語は死霊の祟りより、生きている人間の方が無邪気に残忍なのだから救いがない。

「しゃぼん」のせつない想いも胸に残った。こういう、明文化されていないタブーに触れると報いがあるタイプの話は非常に悲しく恐ろしい。

 このように書くとグロテスクな話ばかりのようだが、因果応報カタルシスある話も少なくないので安心して。


大江戸怪談草紙 井戸端婢子 (竹書房文庫)
大江戸怪談草紙 井戸端婢子 (竹書房文庫)

百物語 (新潮文庫)
百物語 (新潮文庫)


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2027

Trending Articles