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黒木あるじ・他「猫怪談」

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猫怪談 [ 黒木あるじ ]
価格:702円(税込、送料無料)


 不肖わたくしも参加しております!猫怪談。
「ねこだま」「箱猫」は再録、「穢れなき悪戯」は書下ろし。どうぞよろしく(★)。

 早速、amazonレビューでは《再録が多くて残念》と書かれている。私もたいていの怪談本を買っているから、その気持ちは理解できるのだけど、まぁみんながみんな怪談を出る端から全部買っているわけではなし、このようなテーマ別に再編された怪談本は、アンソロの常として、普段読まない作家と読者の貴重な出逢いの場になるんではないか、と思ったり。


 さて、本書の「猫は知っている」「猫は忘れない」「ネコノヨウナモノ」「猫はいつもいる」の四パートに分かれている。
 猫そのものが怪異となったり、はたまた猫が怪異を呼び寄せたり、逆に撃退したりと、一口に猫の怪談と言ってもこられほどバラエティがあるのかと、嬉しいサプライズを覚えた。


 やはり、記憶に強く残るのは平山夢明作品、再読でも、その凄みは色褪せることがない。おぞましさ、面白さともに圧巻で、まさに怪談王。
「猫が好き」の陰惨さ、「しなそ」の妖獣ぶり、絆感じる「足跡」など、どれもがたまらない。

 幻想味強い作風で定評のある我妻俊樹作品は、「猫カフェ」の不条理ぶりや、「ナリカワリと鬼」の迫りくる不気味さが素敵。

 怪談社・伊計翼「ひつう」は悲しいが胸に残る。

 黒史郎はユーモラスなのにとことん怖くてめっぽう面白い。
 動物好きを戦慄せしめる「ペット厳禁」、わけのわからない迫力「ゴマ入り白ソーセージ」「塩」など大いに楽しめた。

 ご存知の黒木あるじは安定の巧みさ。ドンがお茶目な「死写」、可愛いのに禍々しい「火車」がお気に入りだ。

 起承転結がスッキリ!な、つくね乱蔵作品は、物悲しい「招き猫」が印象的。

 愛猫家としても知られる松村進吉作品は、恐ろしいながらも猫への愛情感じられ、猫好きにイチ押し。
「手を貸す」の忠義、短いながらも鋭さ光る「ねこなで」が好みだった。

 積読中のため、思いがけず初読みとなった吉澤有貴「猫は忘れない」は、たたみかけてくる狂気に背筋が寒くなった。


(★)神薫の作に「懺・百物語」収録の「水猫」、「怪談四十九夜」収録の「バイバイン」もあるので、本書がお気に召したらご覧下さい。

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