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或る意味、世界で一番コワイ本

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同棲終了日記 10年同棲した初彼に34歳でフラれました同棲終了日記 10年同棲した初彼に34歳でフラれました
おりはら さちこ

双葉社 2014-10-21


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 24歳で初彼と同棲した漫画家は、「気になる人ができた」という彼の言葉に別れを決意する…別れが決まってから転居するまでの息苦しい同居生活と、一人になってからの内面変化まで描いたエッセイコミック。

 ウェブ広告で気になって読んでみたのだが、これが超怖い。
 作者には何ら落ち度がない(料理があまり得意でない、という描写こそ出て来るが、遭い方のために毎日弁当や食事も作っているし、仕事の傍ら家事もしている)のに、相手の心が別の女にいつの間にか移っているのである。
 結婚して入籍していれば慰謝料の取れる案件だが、十年同居で事実婚状態でも、関係は同棲。作者はひとしきり苦情を申し立てるが、別れを受け入れてしまう。

 レビュー(amazon)を見ると、淡々として物足りないという意見が多い。
 確かに、浮気彼女と相方とで三者面談をする、と息巻いていた作者は、やけにあっさりと引き下がったように見える。
 この点について、〈彼氏と復縁の可能性を遺すため、綺麗に別れてあげたのでは〉という深読みレビューもあったが、私は絶望が深いのだと思った。
 長年一緒に暮らしてきた相手をよく観察していれば、うわべを飾ろうとも、相手の本心は透けて見えるものだ。心変わりを告白されたとき、作者の眼には重心を新たな女に移した相方の心が見えてしまったのではないか。

 正直、イチャイチャラブラブ時代の4コマはさほど面白くないのだが(作者のアメブロにはもっと面白いのろけ漫画もあるのに、わざわざおとなしい内容の漫画が選ばれているような…)、期限付き同居のやるせなさ、別居後の寂しさとフリーな感覚は非常にリアルに描写されていて、目をみはった。

 作者の創作コミックも読んでみようと思わせる一冊だった。


p.s.別れ話としてはよくあるタイプの話かもしれないけど、初彼ですよ?
初彼と十年暮らして、24から34までの女盛りに尽くしてきて、この仕打ちでしょ。
私なら刃傷沙汰になりそう…。

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