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本書には異類婚など民話的な話も多く、「ニャア姫塚の由来」などは現代の怪談本ではお目にかかれないタイプの話であった。
誰が語ったのか気になる、体験者が死んでしまう系の話もちらほら。
現代の怪談に通じるような作品も幾つか見受けられた。「子連れの夫婦者の幽霊」ではのちの平山夢明ばりに人体破壊された霊が飛び出すし、「深夜の姿見」は繊細な比喩が文学性を感じさせた。「怪談三話」は異様なリアリティを持っており、今でも通用する怪談だと思った。
竹書房やメディアファクトリーの怪談と本書を読み比べると、現代の怪談は進化を遂げてきたのだなあと感じる。伝聞形式から体験者投稿形式へ、そして新たなる聞き書き形式へ。正式に何と呼ぶのか知らないけれど、語り方が変化してきたということがわかった。