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郷内心瞳「拝み屋郷内 花嫁の家」

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 のろのろ積読していたらもう次の新刊が出たので、ベストセラーにもなった本書を慌てて読む也。

拝み屋郷内 花嫁の家 (文庫ダ・ヴィンチ)拝み屋郷内 花嫁の家 (文庫ダ・ヴィンチ)
郷内 心瞳

KADOKAWA/メディアファクトリー 2014-09-24


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 かつて美しかったが、いまやおぞましいモノとなった花嫁に祟られる女性。拝み屋である著者が見た、彼女の悲しきさだめとは…長編連作怪談集。

 神獣や怨霊、うーやーたーの男など、まるでホラー小説のような綺羅綺羅しい存在連発も、あくまで観測者の立ち位置はこの世界にあり、現実感を失わない。拝み屋が超能力で穏便に事件を解決できれば苦労はないが、霊能力を持つ著者でも〈手におえない〉、逃げたい・関わりたくないと感じさせる存在が恐ろしくもリアルだ。

 ただ、話の広がりゆく前半はすさまじいワクワク感(ホラー的な意味で)があったけれど、畳みにかかる後半は、やや予定調和を感じた。それはフィクション・ノンフィクションを問わず、長編本の宿命ではあるのだけれど。

 物語のように読めるが、必ずしもガジェットはつながり合わない。うーやーたーの男には正義の鉄槌が下らなかったし、青い目の美女の後日談は蛇足にも思える。物語ならこうなるだろう、という展開をも全て内包したからこそ、この一冊はなんともいえないリアル感を醸し出しているのだろう。

 亡くなった先輩がとてもカッコ良かった。合掌。


p.s.「いじましい」の「ま」は「ら」の方がいいんじゃない?

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