![]() | 蟲姫 1 (画楽コミックス愛蔵版コミックス) 里見 有 外薗 昌也 集英社 2015-06-25 Amazonで詳しく見る |
高砂陵一は美少女に襲われる悪夢を見ていた。そこへ、夢の中の女にそっくりな転校生がやってくる。虫ざわめき、男性の不審死が相次ぐのは彼女のせいなのか?! 虫ムシ大行進ホラー。
昆虫だけでなく、寄生虫らしきムシもにょろっと出てきて、ぞわぞわとおぞけだつこと間違いなし。
聴久子の涙の意味が気になって、2巻の発売(来月!)が待ち遠しい。そう、本作のヒロインは妖女の癖に、非常に可愛いのだ。果たしてヒトかどうかもわからぬ彼女ではあるが、陵一に向ける表情はあどけなく美しく、恋する聖女のようでもある。
黒髪の妖女といえば、「吉祥天女」(*1)の叶小夜子と伊藤潤二「富江」(*2)の富江がツートップだと思っていたが、そこに本作のヒロイン・宗方聴久子が殴り込みをかけそうだ。
里見有といえば、引き込まれるような一枚絵(*3)で有名だが、本作は初漫画とはにわかに信じられぬほどのクオリティ。イラストと違い、漫画はコマ割りやアングル、動きのシークエンスの見せ方などいろいろ面倒な工夫がいるのだけれど、本作は一話(作中の第一羽)目から非常にこなれ感があるというか読みやすいのである。
そして、漫画はぎっちり描き込めばいいというものでもない。適度な密度と抜きがなければ、魅せることができないのだが、本作は軽々とその辺りをクリアしている。途方もない画力とセンスのなせる業だろう。
p.s.小太郎かわいい。うってかわってコミカル(?)なおまけ漫画も超かわいい。
作画ばかり褒めてるようですが、俺は「ラグナ通信」の頃からのファンですよ?
お寺で原作者と作者おふたりと座を囲むイベントがあるそうだが、ボンビーなので行けぬ…嗚呼、俺にもっとお金があったらナア!
(*1)吉田秋生による漫画。オカルト要素がまるでないのに、この妖気ったらハンパない。吉祥天女(1) (フラワーコミックス)

(*2)伊藤潤二の怪ヒロインで、不死の魔女…というより妖怪。
伊藤潤二傑作集 1 富江 上 (朝日コミックス)

(*3)主に竹書房や廣済堂の文庫。絵の力ってすごい。


