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宇宙開発機器のため、透明度に優れた水晶を探していた藤岡は、インドのある地域に目を付けた。そこで出会った少女・ロサは不思議な魅力をたたえており…波乱万丈のサスペンス。
まず、そのものズバリ描写こそないけれど女性への性暴力がたびたびあるので、そういうシーンが苦手な人は注意してね。
これは平和ぼけした日本人を代表する藤岡と、インドを代表する(生き神様だった過去があるなど特殊な存在ではあるが…)ロサの、イデオロギー対立の物語なのだと思う。藤岡の偽善とお人好し、ロサの謎めいた微笑・底知れなさなど、そのまんま国の擬人化かと思える。
それに加えて、男には女を永遠に理解できない…というテーマも加わるからこそ、ロサは藤岡の浅はかな善意をたびたび袖にしてみせるのだろう。
終盤明らかになる水晶の悲劇的設定については、フィクションが入っているようだ。
p.s.ロサは山岸凉子「日出処の天子」シリーズの馬屋古女王なんだろ!?と予想したのだが、ハズレてしまった。