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伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」

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首折り男のための協奏曲首折り男のための協奏曲
伊坂 幸太郎

新潮社 2014-01-31


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 首の骨を折る殺人者、泥棒兼探偵など奇妙な人々が繰り広げる不可思議な物語。

 何の事前情報も得ずに長編のつもりで読み始めたところ、短編集だったので驚いた(連作にはなっているが、謎が謎のままなのでミステリー的にはスッキリしないかも)。
 以下、収録作を順に一言感想で。

「首折り男の周辺」物語の発端はそっくりさんから。これまた魅力的なれど解かれぬ謎が多すぎて、モヤモヤいたしますな。

「濡れ布の話」最初の話と関連していると思ったらそうでもなく。

「僕の舟」別れの日が迫る夫婦の想い出。これはウケるわー。普通に考えたら、リアルではあり得ないだろう話なんだけれど、キャラの魅力と不思議なムードで無理くりな設定をいかにもありそうと思わせてくれる、そこが著者の実力なのだろうと思う。

「人間らしく」胸糞悪いイジメものと思いきや、SFちっくでスリリング。たぶん、これは3.11を始めとした災害や悲劇のあふれるこの世に対する、著者なりのアンサーなのではなかろうか。

「月曜日から逃げろ」黒澤大活躍で小気味よい。

「相談役の話」本作のみ、怪談雑誌「幽」で既読であった。すごく怖いわけではないが、定番の良い話。

「合コンの話」世界狭すぎー、設定できすぎー、と思うがそれを成り立たせてしまうのが著者の筆力なんだなあ。
 なんだかんだで、次回作も楽しみです。




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