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松村進吉「「超」怖い話ベストセレクション 奈落」

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「超」怖い話ベストセレクション 奈落 (竹書房文庫)「超」怖い話ベストセレクション 奈落 (竹書房文庫)
松村 進吉

竹書房 2013-12-26


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「怪コレ」1・2・3および「怪記」、「「超」怖い話」Ι・Λ・Μ・Ν・Ξからの傑作選と、書き下ろし4話を加えた65話を収録する、著者初の傑作選。

 チョーコワは全部買っているのだが、書き下ろしがつくとあっては買うしかあるまい。一日数話ずつ、ちびちびと大事に読んだ。よく〈珠玉の〉作品集と言うが、本書はまさにその言葉がぴったりなえりすぐりの怪談集であると思う。

 やはり傑作選に載る作品は強烈な印象を持っているせいか、記憶に残っている話が多かった。
 特に私好みの話を挙げると、怪異のイメージが鮮やかな(しかも、今年ならではの)「午年」や脳裏に妖魔たなびく「リュウグウノツカイ」、動きが衝撃的だった「天ぷら」。キュートな「目撃談」もいい。

 人情譚も抜群で、「やさしい指」には誰しもが涙誘われるのでは。
 一方で、グロ全開の「穢兆」や「吐瀉物」は迫力があるし、読者を不安に突き落とす「ひやむぎ」「兄弟げんか」といった掌編、また、尺が絶妙でブンまわしてくれる「俺の中では過去の人」「鑑賞会」も素晴らしかった。

 いまだかつて見たことのない世界を見せてくれる作家として、今後の新作にも大いに期待している。



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